公立学校の真実
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元社会教諭に「数学教えて」 教員不足、九州の教委必死
九州各地で教員不足が深刻になっている。年度当初の欠員が相次ぎ、福岡県では1学期半ばでも60人以上が不足していた。第2次ベビーブーム世代の就学時に採用された教員の大量退職が背景にある。切羽詰まって、「教員免許をもつ人を紹介して」と保護者に呼びかける教委もある。
■保護者に「紹介して」メール
「お知り合いの方で、教員免許状をお持ちの方がいれば、是非紹介してくださるようお願いします」。今年1月、福岡県大野城市の小学校の保護者に届いたメールだ。県教委の福岡教育事務所が、管轄する市町の教委と小中学校を通じ、保護者ほぼ全員に呼びかけたという。この保護者は「そこまで先生が足りないのかと驚いた」と話す。
福岡県内の元中学教員の男性(61)には昨年、地元教委を名乗る人から「中学の教員が足りない。講師として来てくれませんか」と電話がかかってきたという。男性は元社会教諭。「社会はいっぱいおるでしょう」と言うと「いや、実は数学なんです。臨時免許を出します」。男性は驚き、断った。「数学なんて教えたこともないし、免許もないのに」とあきれる。
ある中学では今年度、技術の教員が6月半ばまで不在。やむなく技術の時間は家庭科や他の教科に充てた。生徒からは「なんで技術できんと?」と不満が漏れたという。別の中学では5月末まで美術の教員がおらず、授業ができなかった。体育教員が臨時免許で美術を教えているケースもある。
「担当外では満足に教えられない。これで学力をあげろと言われても無理」とある中学教員。別の小学教員は「教員はだれでもできる仕事じゃない。こんな状況では子どもたちにも失礼だ」と話す。
朝日新聞社