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地元のものが地元の生徒を教える効果は十分に期待できる。

要するに、先輩として十分にその地域を知っているという強みがある。そして、愛着があり、地域の人間の気質も知っている。
ローカルな話題にも対応でき、教育に力がこもる。

その逆に、都市部では、様々な地方から教員として流れてきているので、その土地に慣れるのに時間がかかる教員が多い。

その点では、奈良県内で勤める人を正教員にするのは効率的だ。



奈良県は今年から、県内の小中学校や高校に勤める常勤・非常勤講師を対象に、授業力などを高めてもらう「講師塾」を始めた。全国でも珍しい試みで、自治体同士が教員志望者を激しく奪い合う中、優秀な教師に育て地元に引き留める願いが込められている。

 講師塾への参加は、同県で正教員になることを目指していることが条件だが、予定を30人上回る103人が集まった。指導は模擬授業が中心で、4月から今月までの計6回。

 「これは何の形?」「平行四辺形」「そうですね」――週末の土曜日、同県田原本町の県立教育研究所では、若い講師たちが交代で、算数の模擬授業に取り組んでいた。

 課題は「いかに冒頭の5分間で子どもの心をつかむか」。模擬授業をじっと見守っていた県教育委員会の上田薫・管理主事(49)は「平行四辺形がどんな形か分かるように、身近な例を出すといいですよ」とアドバイスした。参加者の一人、堀川智代さん(22)は「具体的に教えてもらえるので、とても助かる」と話す。

 県が8月に行う教員採用2次試験では、模擬授業が課される。塾で受けた指導は、ここでも役に立ちそうだ。

 県は他の自治体にならい、教員志望の大学生向けの研修を実施するなど、「囲い込み」に懸命。しかし、1990年代に20倍もあった小学校教諭の志願倍率は昨年、3・8倍。危機感を募らせた県は約1000人いる講師に着目した。

 久保田幸治・教職員課長は「地元に愛着を持っているはずの人材をみすみす周辺の府県に奪われるわけにはいかない」。自治体の知恵比べは、まだまだ続く。(奈良支局 阿式智子、7月1日掲載)

2010年7月14日  読売新聞)

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