公立学校の真実
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生涯有効とされてきた先生の免許に期限を付ける「教員免許更新制」の第1回修了確認期限が、いよいよ来年3月末に迫ってきました。その日までに35歳、45歳、55歳になる先生は、1月までに、大学などで計30時間の講習を受け、更新手続きを行う必要があります。
ところで、講習は本当に、当初期待された効果を上げているのでしょうか。中央審議会は現在、更新制を含めた「教員の資質能力向上」について、特別部会を設けて検討していますが、そこに提出された委託調査には、心もとない数字が上がっています。
その前に、そもそも更新制とは何を目的としていたか、改めて確認しておきましょう。文科省の説明によると、
(1)その時々で教員として必要な資質能力が保持されるよう
(2)定期的に最新の知識技能を身に付けることで
(3)教員が自信と誇りを持って教壇に立ち
(4)社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものであり
(5)不適格教員の排除を目的としたものではない……ということです。
特に(5)は今でも誤解している人が少なくないので、注意していただきたいと思います。
さて、聞き取り調査の結果では、目的の(2)に当たる「最新の知識技能の習得」について、効果が「あった」(「とても」「やや」の合計、以下同じ)と回答した教員の割合は、40%にとどまりました。ただし、受講した教員の上司である校長の評価は51%、人事管理者である教育委員会は61%なので、本人が感じる以上に効果はあるのかもしれません。
しかし、(3)に当たる「教員としての自信と誇りの高まり」は、教員で16%、校長で23%、教委でも27%にとどまっています。(4)に対応する「社会からの教員に対する信頼・尊敬の念の高まり」になると、教員9%、校長15%、教委18%しかありません。同じ質問を保護者にもしているのですが、それでも信頼が高まったと見る人は31%止まりです。
なお、本来の目的ではない(5)に当たる「不適格教員の排除」は、教員7%、校長14%、教委12%に対して、保護者は30%ですから、やはり温度差は隠せません。
とはいえ以前の記事で見たように、受講した教員は、講習自体を無駄だと思っているわけではありません。今回の調査でも、「専門性の高い内容だった」(64%)、「新たな視点を持つことができる内容だった」(58%)などと評価しています。
ただし、「学校における教育活動に、すぐ生かせる内容だった」かどうかになると、32%にまで落ちてしまいます。勉強にはなったけれども、忙しい校務の合間を縫って受講した割には、応用面でいまひとつ、というのが実感のようです。
民主連立政権は当初、更新制自体を見直す方針を示していましたが、「ねじれ国会」で法律改正が難しくなり、制度は来年度も今の形で続く見通しとなりました。効果を上げる形で存続を図るのか、あるいは、別の形でやるべきなのか。きちんと「仕分け」をして、今後の議論を急いでほしいと思います。
(提供:Benesse教育情報サイト)