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                                                        (中日新聞)
  東京都立高校の教職員ら168人が都を相手に、入学・卒業式で日の丸に向かい起立し、君が代を斉唱しなかったことなどへの懲戒処分の取り消しや損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が10日、東京高裁であった。大橋寛明裁判長は、請求を棄却した一審判決を取り消し、一人を除いて167人の懲戒処分を取り消した。

 
 一連の訴訟で都側の処分が取り消されるのは初めて。賠償請求は退けられた。

 
 大橋裁判長は同日、元小中学校教員二人が起こした同様の訴訟の控訴審判決でも、懲戒処分を取り消した。

 
 大橋裁判長は都立高職員らの判決で「歴史観や信条に基づくものでやむにやまれぬ行動。式の円滑な進行が阻害されたとも言えない」とし、「懲戒処分は著しく妥当を欠き、裁量権を逸脱している」と判断した。

 
 入学・卒業式時の国旗への起立、国歌斉唱を求めた都教育長の通達などが違憲と訴えたことには、「思想良心の自由を侵害しない」と合憲と判断した。

 
 2009年3月の一審東京地裁判決は「都教育長通達は、旧教育基本法10条の『不当な支配』に当たらず、懲戒処分が過酷とは言えず裁量権の乱用は認められない」としていた。

 
 判決によると、教職員らは03~04年の式典で都教育長の通達に反し、起立や斉唱を拒否して戒告や減給処分を受けた。

 
 原告弁護団の雪竹奈緒弁護士は「都は上告せずに懲戒処分を撤回し、日の丸・君が代の強制をやめてほしい」と話した。大原正行・都教育長は「判決は大変遺憾。内容を確認して対応を検討したい」とコメントした。

                       
 
 今まさに卒業式を迎えるにあたり、国旗国歌問題が職員室で取りざたされている。この判決で現場はゆれる。校長はピアノ伴奏で起立して歌えという。だが、思想信条の自由とかを持ちだされて議論はヒートアップする。職員室は嫌な雰囲気になる。なぜなら、職員1人1人も賛成なのか反対なのか問われているようだからだ。
 だから、職員室は黙りこむ。強烈な組合の反国歌国旗思想家か管理職ぐらいしか発言をしなくなる。(私の経験した職場でのことと限定する)
 
 組合に入っているものは、この時管理職側の意見に賛成を表明することは組合に反旗を翻すことになるので絶対にない。だが、非組合員たちは管理職の意見がもっともだと思っていても、その意思をはっきり表明すると、その後の人間関係に響くので黙る。つまり、反国歌も親国歌も同じ学年でしんどい状況の中スクラムを組んで共に仕事をしているからだ。このくそしんどい教育現場で課題は山積みなのにエネルギーをそこにとられることなど、まさしく教員の士気の低下を招く。生徒に影響大だ。
 
 ましてやこの問題で会議が長引き、来年度に向けて相談したい事や検討せねばならない時間が削減されるのは避けたい。
 
 上のような判決が出るとちょうどこれから始まる卒業式に影響が出そうだ。反国歌派が勢いを増し、ますます職場は嫌な雰囲気になる。あまりにも混乱にタイムリーな話だ。
 私は国歌、国旗は当然だと思う。我々教員は思想信条の自由があるのはわかる。だからといって行動に移すと公教育の現場が大きく混乱するのだ。例えば、尖閣諸島は中国領だとの信条のもとその思想を生徒に表明し行動してもよいものか。それなら公務員を辞めてほしいと思う。
 生徒は純粋だ。教師の影響は必ず受ける。微妙な言葉の表現でも生徒は染まっていくものだ。
 
 大阪の門真市の卒業式で、国歌を起立して歌った生徒は170人中1人だけという中学校があった。教師は11人中2人だけ起立したという。断っておくが、このようにトップの常識内と考えられる通達にどうどうと逆らっても辞めさせられることなく、安穏と生活できるのは公教育の教師だけだ。これぞ税金と生徒へのエネルギーの無駄使いだ。
 

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