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ブナの森とフクロウのブログからの記事だが、これはその通りと言うべ
き部分が多い。でもなぜ、こうも教員の仕事が(特に中学校は)多くなっ
たのか。

中学校を支援する教育施設が必要だ。

主義主張はさておいて、記事を読んでほしい。

東京都が、教員不足で地方から教員のなり手を募るためのバスツアーを行った様子をNHKニュースで報じていた。その様子はあまりもばかげて見えた。なぜ教員が足りなくなるのかということには全く触れず、団塊世代が退職するから、など理由にもならないことを言っていた。問題意識のない報道というのは見苦しい。バスツアーに乗り込んでいる若者があわれにも感じられた。
医師が足りない、介護士が足りない、教員が足りない・・と何度も何度も報道されているが、足りなくなった責任を問われるのは誰か、という点がすっぽり抜けているのはわざとだろうか。

毎日新聞でしばらく前に『先生〜生徒指導は今』というシリーズで公立小中学校の教員が直面している問題を連載していた。学校の荒れ、疲弊する教員、重圧に押しつぶされる教員の姿がかなり正確に誠実に報道されてた。心折れ定年前に辞めていく教員、自殺に追い込まれた新任教員のことなど、深刻な内容だった。
2月24日の「記者の目」はこのシリーズを担当した三木陽介氏の記事だった。
「教育取材担当になって以来、学校に足を運ぶたびに生徒指導に疲弊している先生達の姿を目の当たりにして、このままでいいのかと思っていた。先生が一人で対処する容量をはるかに超えているのに、そうした実態が学校の外に伝わっていないとも強く感じた。それが今回の連載をしようと思ったきっかけだ。」と三木氏は述べている。
その「記者の目」の中で「文科省の調査では教員の一日の平均勤務時間は10時間36分。このうち休憩はわずか14分」「先生達はもっとSOSを発信するべきだ」とあったが、今の学校は、市町村の教育委員会の姿勢や地域性で、その雰囲気は少しづつ異なるが、教員の忙しさがこの10年で以前に比べ数倍にもなったことだけは大げさではなく確かな事実だ。

さて、学校の教員は誰に対してSOS発信ができるのだろう。生徒の保護者だろうか。一般の人だろうか。政治家? 教育委員会?
無念なことに教員のSOSを受け止めてくれる場はないのである。公務員で一応身分も保障され、給料もある程度もらっている、となれば、他の誰が教員の悩みに耳を貸すだろう。(給料について言えば、30代で子供が2人いると生活保護の対象になる位のものだが)

私の知っている中学校ではこの3月に50代の教員が3人も(全校たった20人の教員のうちで)早期退職をするという。「もうこれ以上は耐えられない」と言う。3人ともベテランの教員である。
こんな先生に子供をまかせるなら安心、と思うような人達である。退職後、皆この不況時に新たに職探しをしなければならないのだが、それでもこのままでは心身が持たないと、退職の道を選んだのである。

教師集団という言葉があるが、今のような忙しさの中では教員は会話する時間もなく、孤立して一日に百数十人の生徒と向き合わなければならない。ベテランの教師でも、ふっと気付いたら「ご飯と味噌汁の味がわからなくなっていた」という事が起こりうる。真面目に生徒と向き合おうとする人ほど当然無理を積み重ねるから心が折れてしまう。
新任教員に至っては、相談したくとも相談する相手がいず(それぞれが忙しく話しをする暇がないせいで)、本当に気の毒というほかはない。希望に燃えて教員試験を受け、見事合格しても絶望の淵に立たされる新任は多い。繊細な心や自責の心を持った真面目な人ほど、絶望感も大きいだろう。

これでは教員のなり手がいないのも当然のことだ。新任もベテランも辞めていくのだから。
なぜ辞める教員が多いのか、そうならないためにどうすればいいか、という問題を全く棚上げして、「東京の学校見物ツアー」などというばかげたことを得意げに企画し、それを喜んでNHKが報道している。「学校ツアー」で一体何を見るのだろう。建物?それとも児童、生徒の様子? 
(東京都では教員は職員会議で意思表示の挙手、採決をしてはいけないということもちゃんと説明しただろうか?)

学校に関してはあまりにいろいろな話題が好き放題に報道されるため、一番深刻な問題の焦点はいつもベールにつつまれている。授業は増やしても教員数は増やさず、教員を忙殺させ追いつめている。臨時教職員という身分を新たにつくり出し教員希望者を安上がりに使っている。そのくせ、予算をさいて現場に不用な、授業をやらない管理職(副校長、主幹)を置いた。免許更新制度を作り、これ以上余裕のない教職員を意味のない研修に無理矢理に参加させる。不毛で有害な学力テストで金と労力を無駄遣いした。

教員の疲弊は教育の疲弊につながる。そして十分にていねいな教育を受けられなかった子供が大人になって理不尽な行動を取ると、「モンスターペアレント」などという下品な言葉を投げつける。(「モンスターペアレントの対策」などという研修もあるそうだから、いかに文科省のレベルが低いかよくわかる。)これほどまでに教育が踏みつけにされるとは想像もできなかった。
こういう教育界に見切りをつけ逃げ出す先生達に、これ以上「がんばってほしい」とは言えないのである

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