習熟度別授業はなぜ失敗するか
【習熟度別授業、効果出ない例も 文科省全国調査 朝日3/31 】

 勉強の理解の程度に応じて子どもたちをグループ分けして教える「習熟度別少人数授業」。きめ細かな指導法として各地で導入されているが、勉強が進んでいない子の学力向上につながっていないケースが少なくないことが30日、文部科学省の調査結果でわかった。

 習熟度別授業は各都道府県の3~9割の学校で導入されているが、専門家は「単にクラスを分ければいいというものではない。個々の状態に応じたていねいな指導が必要だ」と指摘している。  

 文科省は、小6、中3を対象に08年4月に実施した全国学力調査をもとに分析。

 算数・数学の成績が下から4分の1だった子どもから、「全授業の4分の3以上で習熟度別少人数指導を受けた」グループと「習熟度別少人数指導を全く受けていない」グループを抽出し、問題をピックアップして正答率を比べた。  

 それによると、習熟度別指導を受けた子の方が、受けていない子より正答率が1ポイント以上高い問題が小学校で14問中5問、中学校では20問中4問あった。ただ、差は最大で3ポイントにとどまり、受けていない子の方が逆に正答率が高い問題も小学校で3問あった。  都道府県ごとにみると、小学校の算数で、習熟度別の実施校の方が正答率が1ポイント以
上高い県が10ある一方で、非実施校の方が1ポイント以上高い県も5あり、それ以外はほとんど差がなかった。

 浅沼茂・東京学芸大教授は「効果が出ている学校を見ると、低学力層

は10人くらいのグループにし、教材や教え方も変えている。子ど

も一人ひとりの性格に合わせて声のかけ方まで工夫している」

と指摘する。

 
文科省の担当者も「効果が出るかどうかは、結局、先生がどういう方法で教え

ているかによるのではないか」と言う。(葉山梢)


   この文科省の担当の無責任な発言に情けなく思い、怒りが出るが、冷静に次を記す。

 


習熟度別授業の成功例と失敗例に出合った。成功するには理由がある。理由は上記の赤で書かれている部分と重なる。

失敗する最大の理由は次の2点だ。

①習熟下位層のグループに生活面の指導が困難な生徒が集まって、授業が出来ない。

②習熟下位層のグループも上位層のグループも、同じ教科書で、同じ進度で授業を行い、同じ評価テストをするため、下位層のグループの生徒に分かりやすい授業を提供できない。
言い方を変えれば、下位グループの生徒が本当に分からないところから学習が出来ない。

                   その解決策。

①を解決するのには、上記の赤の部分でもあるように、下位の層は超少人数にして、さらにティームティーチングを組む。

この時の二人目の教員は、どの教科の教員でもよい。教科指導ではなく、生徒指導という名目なら授業に入れる。
 
②を解決するには、失敗する理由の逆をする。
授業をグループ別に進ませ、テストはグループごとの問題で行う。

特に、下位層のグループは教科書を使う必要はなく、生徒が分からないところからプリント学習で始める。学年の内容を超軽重をつけて教え終える。 

その時、通知表の評価が問題になるが、グループごとに絶対評価で行う。学年の最後に、同一問題で評価テストを行い、それを要録の学年の評価とする。ただし、3年生は私学受験の内申の問題もあるので、2学期に、同一問題で評価テストを行う。

中学校は義務教育であり、指導要領に沿って教えなければならない。しかし、現実を見てほしい。中学1年生でも九九が出来ない、卒業間近にあっても、分数が出来ない。この現実は何を意味しているのか。教育が実をとっていないということだ。

教育の実をとって成功している例がある。私学だ。ある高校では、一年生最初の英語の授業は、「アルファベットをかけるか?」から始まる。もちろん数学は正負の計算からだ。それでいて、地域から高い評価を受ける。公立底辺高校よりはるかに授業は静かで、学校が落ち着いているからだ。

公立中学校も生徒の事を思うなら、実をとるべきだ。教育に多様性があってもよい。特別支援学校が多様で自由な教育を展開している。実をとった教育だ。小、中学校も困難校になれば、特別支援学校の生徒の何百倍も手がかかる。自由で多様な教育は困難校にこそ許されるべきであり、必要だ。



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2010/04/29 09:44 | Comments(1) | TrackBack() | 授業

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コメント

参考になりました、ありがとう。テストの件、私も同感でしたので定着すればいいな、と思います(・ω・)
posted by 通りすがりat 2013/06/16 10:45 [ コメントを修正する ]

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