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昔、中学校で習熟度別授業の研究授業を見た。ある項目でグループを2つに分けて教える。1つは教科書をそのまま使い、掲載してある問題もそのまま解かす。もう1つのグループは、問題に分かりやすいヒントを付けて教える。

この授業だけを見ると、こうすればどの生徒も理解していくとうなずく人は多い。

しかし、大きな落とし穴がある。2つのグループの1年間の進度が同じだということだ。習熟できにくい生徒には習熟させるための時間が3倍必要だ。

なぜ習熟度別授業をするのか、という原点にかえって考えてみたい。40人足らずの生徒の中にはすでに次の学年のレベルまで進んでいる者もいる。反面、特別支援教育なみの授業を必要とする生徒もいる。だから習熟度別に分けるのである。

理解力が下位のものは、分かりやすく教えても定着させるのにかなりの時間がかかる。今日理解したとしても、明日になれば半分以上忘れていることも多い。まさに「七転び八起」状態なのだ。だから、授業進度は上位のものと同じであってはいけない。

どの生徒も授業で、分かったという歓びと先人が残した智のすごさを体験してもらいたい。そのためには習熟度別授業の原点に返り、2つないし3つに分けたグループの進度や内容を個別にする必要がある。そのためには評価テストの問題も別になる。もちろん評価方法も大胆に改革する必要があるのだが…。




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