公立学校の真実
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毎日新聞 2018年3月25日
発達障害などの生徒が通常学級に在籍しながら特性に応じて別室で一部の授業を受ける「通級指導」が、新年度から公立高校でも始まる。指導法はまだ手探りで、専門性の高い教員の確保も課題だ。
柴島高校は、文部科学省が全国で36校指定した通級指導研究指定校の一つで昨年10月から試験的に導入した。4月からは生徒2人が、社会で生活していく上で必要な対人関係などを学ぶ。
通級指導の対象となる児童・生徒は発達障害や言語障害、情緒障害などさまざま。小中学校では1993年に導入された。
ニーズは年々増え、文科省によると2016年度には、全小中学生の約1%に当たる9万8311人で、初年度の約8倍となった。
義務教育終了後、障害のある生徒の学びの場は一部例外を除き、これまで高校の通常学級か特別支援学校に限られていた。文科省の調査をふまえ、専門家会議が高校でも通級指導を導入すべきだと報告し、18年度からの制度化が決まった。個別指導が原則だが、必要に応じてグループ指導も認められている。
ただ、高校の通級指導は一気に広がるわけではない。
現状では、きめ細かな指導ができる専門的知識を持った教員が少ない。
さらに高校は小中学校と異なり、進学や就職も視野に入れた指導が必要になる。
単位認定の基準をどうするかなどさまざまな課題もある。
現在、中学校では、反社会的な生徒の指導もさることながら、不登校、発達障害の生徒たちの支援、精神的な不安を抱える生徒(自傷行為、パニック障害)などの対応が急務になっている。
結局、反社会的行動をとる生徒たちも、半数が発達障害を伴っていると私はみる。また、不登校も、発達障害の2次障害の末路ともいえる例が3分の1はあるとみる。
従って、各学校に特別支援教育の経験と専門的知識をもった教員が必要だ。これからの教師は、特別支援の視点を持たなくては、学級経営を始め部活動の指導、授業においてかならず行き詰ってくる。
通級指導教室は「ことばの教室」などと言われていたが、現在は発達障害の子供たちの支援が中心となって広がている。都道府県、市町村によってその広まり方の差は歴然としている。奈良は遅れているといえる。
通級指導は、授業中に生徒を取り出すので、その授業を補填もすることも多い。だから抜けてくる授業を補填できる「教えるちから」を持っていることが必要だ。授業を抜けたので、学力が落ちたとなれば、本末転倒だ。
小学校であれば、どの教師も小学校の免許を持っているので、補填できる力はあるとみる。
しかし、例えば中学校では、英語の授業を抜けてくる生徒に、家庭科の免許しかない通級指導担当が補填できるかといえば不安がある。私は出来ないと思う。
ましてや高校になると、数学の授業を抜けてくる生徒に国語の免許しか持たない通級指導担当であれば、相当苦労すると思われる。
高校や大学時代によく勉強ができ、どの教科も教えらえると自信持っている教員もいるだろうが「できる」と「教える」は違う。「教える」力は教えた経験の蓄積がものをいう。やはり、やってきたその筋の専門家が教えるのは違う。
他府県でも、高校での通級指導は試みられたがうまくいっていない。例えば、京都府立田辺高校もその一つだ。志高く立ち上げ、周りにも力強く発信していたが数年で店をたたむことになったという。
柴島高校は現在、大阪市内でもある程度(中程度)の力を持った生徒が集まってくる。単位認定の問題も絡み、今後どのように通級指導を展開していくか注目を集めるだろう。
既成概念にとらわれない通級指導のありかたを教育界に発信してほしいと願うばかりだ。