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   読売テレビの10日の報道によると、漁船衝突事件の映像を流出させたことを認めた主任航海士は、取材した同局記者に対し「この映像は国民の誰もが見る権利がある」と話し、広く公表することが目的だったことを示唆したという。

「自分がやりました」。主任航海士は巡視艇への乗船勤務中に、思い詰めた表情で船長に流出を打ち明けたという。「彼はとても正義感が強い人だったから、映像の非公開を決めた政府の対応が許せなかったんだろう」。主任航海士の元上司は、突然の「告白」に至ったかつての部下の心中をおもんぱかった。

 「一言で表現するなら、彼は非常に優秀な部下だった。自分の任務に誇りを持ち、どんな状況でも決して弱音を吐かなかった」。元海上保安庁特殊警備隊長の坂本新一さんは、主任航海士の性格をこう振り返る。

 主任航海士は、坂本さんが海保を退官した平成12年までの約3年間、第5管区海上保安本部で部下として勤務。密輸や密漁などの取り締まりや、人命救助などを主な任務とする海上保安官として一緒に働いた。

 一方、主任航海士は今回の映像を撮影・編集した石垣海上保安部を管轄する第11管区にも所属したことがあったという。坂本さんによると、転勤が頻繁にある幹部級職員と異なり、下士官級が管区外に異動することは異例だ。

 「下士官級の彼が、日本の領海警備で特に重要な位置にある11管に異動したのは、勤務成績が突出して優秀だったからだと思う」と坂本さん。映像流出は、強い正義感が故の“告発”だったのか-。捜査の行方が注目される。


 航海士は流出事件の発覚後、同局側と電話連絡をとり、
神戸市内で取材に応じた。
 映像について航海士は「
海上保安官であれば、いつでも見られる状況だった。機密ではなかった」と強調。一部の政治家が機密扱いをしていることを疑問視し、流出させたという。

 航海士は「自分は国家公務員として、政府に対して仕事をしているだけでなく、国民のために仕事をしている自負がある」と説明。その上で「海保の組織に不満があるわけではない。(流出させたことへの)批判は覚悟しており、(その是非は)国民一人一人が判断することだ」などと語ったとされる。

 航海士は落ち着いた様子だったが、「同僚や上司に大変迷惑を掛けて申し訳ない。職を失うことは覚悟している」とも話し、涙を見せる場面もあったという。

 

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