教師の疲弊、心労は職員間の絆で癒される

16年連続で増加

 うつ病などの精神性疾患で2008年度に休職した全国の公立学校教員は、前年度より405人増え、5000人を超えたことが25日、文部科学省のまとめで分かった。

 心の病などによる休職者は16年連続増で、1979年度に調査が始まってから過去最悪となった。

 調査対象は公立の小中高校などの教員91万5945人で、8578人が病気で休職していた。このうち、精神疾患が理由の休職は5400人で、病気休職の6割を占めた。03年度から4年連続で2ケタのパーセンテージだった伸び率は鈍化傾向にあるが、それでも数百人規模で増えていることに同省は危機感を強めている。昨年10月に同省がまとめた抽出調査では、うつ病の症状を訴える教員の割合は一般企業の2・5倍に上っていた。

 この問題の解決は教師間の真の支え合い、絆と無関係ではない。

 ある県の有名な困難校で実際にあった話だが、指導主事が学校訪問に来て諸先生方へ日々の熱心な指導への感謝と指導助言を伝えた時のことだった。

 その中で、職員からこの困難な現状を打開する有効な方法がないかと質問が出た。その解答に指導主事が「死ぬ気でやる」という気構えを職員に伝えた。 しかし、この「死ぬ気でやる」というフレーズが問題だった。

 実はこの学校では教職員が1年前に死んでいた。熱心な女の先生が生徒指導に追われる中を縫って、一旦家に帰り自分の子どものために食事を作り、その後学校に戻って深夜まで仕事をするという常態勤務が続いていた。その一旦家に帰り、また学校に来るまでの時に事故で亡くなっていたのだ。

 その指導主事の発言のあと、一人の女教師が「もうすでに人は一人死んでいるんです」と震える声で言った。またその学校では、2年後に一人の優秀な若い主任級の教師が病気で死んだ。

 しかし、この学校ではこの頃、心の病での休職者は皆無であった。これはすごいことだ。それは団結力、出来なくても当たり前、支え合って当たり前という風潮、原則が職員間を支配していたからだと思う。その中にいた私も随分多くの先生に支えていただいた。

 これを読んだ当時の先生方はどこの学校かすぐ分かると思う。私の存在も特定されるので心配だが、古い話であるが真実だ。思い出すと込み上げてくるものがある。

 さて、規制緩和、新自由主義、グローバリズムなど、人間を成果主義に駆り立てる要素が社会に蔓延しているが教育界も例外ではない。今は教師の間でも、能力給が試されている。そして学校間の学力競争(高校では優秀な生徒の奪い合いだけに終わっているところもあるが…)。不思議だが、そこには前述のような協力や共同といった要素はない。一番教師が元気が出るのは教師間の絆や連帯感の実感だ。競争ではない

 悲しいかな、最近はその連帯感や絆が薄いため、先輩教師から新任教師への伝承がなされていない。忙しすぎるということもあっただろう。だから、盛り沢山の新任研修が流行しているのだ。見ていて涙ぐましい。そこまで必要なのか疑問に思うが、この話は別の機会にしたい。

 

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2010/01/04 08:43 | Comments(1) | TrackBack() | 教員の疲弊

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コメント

ブラック企業に8年くらい仕事した自分は、先生方が心を病む気持ちがわかります。毎日、おかしな生徒や親、管理者に毎日振り回されていたら、心がおかしくなって当然です。1クラスの生徒を20人くらいにしたほうがいいです45人はきつすぎます。校内の治安をスクールポリスをおいたほうがいいです。今までの教育のやり方はもう限界に来ています。先生方も人間です、文科省の人たちも先生方の気持ちを理解してほしいですね。
posted by さかいat 2010/02/24 10:01 [ コメントを修正する ]

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