また東洋経済がおもしろい記事を出した

東洋経済ONLINE 6月16日 より抜粋しまとめてみました。
 
 
 文部科学省の調査によると、精神疾患で休職となった公立学校の教師は毎年ほぼ5000人。

 「休職にまで追い込まれてしまった人のみの数」です。

 なんらかの精神的な不調を感じながらも勤務を続けている先生方はこれよりはるかに多いのです。  

 そもそも教師という職業は、その性質上、燃え尽きやすく、うつになりやすい職業です。相手のためを思って頑張っているのに、相手からはごく当然のことと受け取られてしまう。エスカレートした要求を突きつけられることすら珍しくない。こういった中で、あるとき突然大きな脱力感を覚えて「バーンアウト(燃え尽き)」状態に陥ってしまうのです。

■責任感の強い性格が自らを追い詰める。

 もともと、教師を志す人間の性格特徴としては、根がまじめで几帳面、完璧主義、責任感が強い、他人に気を遣う傾向が強い……といったところがあります。

 これらは、うつ状態に陥りやすい人の性格特徴でもあります。

 しかし、それが教師自身を追いつめます。

 まじめで責任感が強いので、「仕事がつらいのは自分の努力が足りないからだ」、「もっともっと頑張らなければならない」と、自分を追い込んでしまいがちなのです。

 先生方の心はなぜこれほど疲れきっているのでしょうか。

 次の4つが考えられます。

①多忙化・ブラック化
②学級経営、子どもへの対応の困難さ
③保護者対応の難しさ
④同僚や管理職との人間関係の難しさ

 もう少し詳しく見ていきましょう。


 ① 多忙化・ブラック化  

 「教師の多忙化」にかかわる要因として、報告書等のさまざまな書類の量が増えていることがあげられます。特に教頭(副校長)の作成する書類の量は、この20年の間で確実に倍以上に増えたと言われます。


 以前は暗黙の了解として、多くの先生方が仕事を家に持ち帰っていましたが、現在ではデータの流出の問題を避けるためにUSBを外に持ち出すのが難しくなり、学校に残って仕事を続ける教師がとても多いのが実情です。  

 ある調査によれば、教師にストレス要因を問う質問に対して、「仕事の量の問題」をあげる割合が、一般企業と比べて教師は約2倍にのぼることがわかりました。

仕事の質以前に、単純に「仕事の絶対量」が圧倒的に多いのです

■諸外国と比較しても、労働時間は長い

  教師の勤務時間について、2016年の調査で「過労死ライン」とされる「時間外労働が月に80 時間超え」が小学校で3割、中学校で6割に上ることがわかっています。  

 そんな中、文部科学省は「変形労働時間制」(教員でいえば、忙しい時期の勤務時間を延長する代わりに、夏休みなどにまとまった休みをとる制度)を提案していますが、これは焼け石に水。

 教師の労働の「総量」を減らさなくてはまったく解決策になりません

 

 そもそも多くの教師は夏休み中もほとんど休みなく、研修などに追われているのが実情です。ほかのOECD加盟国と比較しても、日本の教師の労働時間は長く、OECD平均と比べて年間200時間以上長く働いていることになります。

 教師の残業時間は月に95時間を超えており、この10年で14時間増えています(「朝日新聞デジタル」より)。  しかもそんな中、公立小学校教員の給与を財務省が1.7%削減しました。

 「図表で見る教育2013」(OECD)によると、日本の公立小学校の教員の初任給は実質「時給679円!」になるというのです。

 これでは教員志望者が激減するのも無理のない話です。

 小中学校の教師の一日の平均勤務時間は11時間を超えています。

 小中学校とも週の労働時間が50時間未満の教員はほとんど存在せず、小学校で約73%、中学校で約87%が60時間以上も働いているという実態があります。  

 教員のストレスの最大の原因は、やはり、「仕事の総量の多さ」にあるのです。これだけ労働時間が長いと過労死のリスクも当然高まってしまいます。それに加えて、周知のように教師はいくら頑張って仕事をしても残業代が出ません。




 教員の給与を定めた給与特別措置法、通称給特法(1972年施行)に、「教育職員については、時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」と定められています。厳密に言えば、「教職調整額」というものが加味されているのですが、これは一般公務員の残業代の3%程度。どれだけ残業しても、一定額のわずかな教職調整額が支払われるだけです。

 これではやりがいをそがれても仕方がないでしょう。



■教師同士の対応の困難さ  

 ②近年、発達の偏りがある子ども、傷つきやすい子どもや、かんしゃく
 を起こしやすい子どもが急増しています。

 これまでと同じ指導は通用しなくなっているのです。

 学級集団への対応も困難化しています。  

 

 ③保護者対応の難しさ  

 「学級経営、子どもへの対応の困難さ」と「保護者対応の難しさ」は、分かちがたい問題です。

 傷つきやすい子どもたちは、教師の叱責に敏感で、「あの先生が怖い」と保護者に伝えます。すると、それが保護者からのクレームにつながるのです。

 「傷つきやすい子ども」の背景には、「傷つきやすい保護者」が存在しています。

 その傷つきやすさは、激しい攻撃性を持つクレームへ転化して、教師を追い詰めていくのです。  

 

 ④同僚や管理職との人間関係の難しさ

 「管理職との関係の難しさ」には、「教師の仕事全般に世間から向けられるまなざしが格段に厳しくなってきている」ことが関連します。

 どの職場もそうですが、管理職は人事考課をしなければいけなくなりました。また、部下を評価する管理職自身も委員会から厳しく評価されます。そのため、ミスを犯した部下を、管理職が擁護することが難しくなっているのです。

 教師の「自己管理」「自己責任」がより強く求められるようになり、教師同士の支え合う関係づくりが困難になってきました。

 職場が働きやすい環境かどうかは、人間関係が大きく左右します。

 教師同士の間で支え合える関係づくりができるかどうかが、教師の働き心地の鍵を握っているのです。

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2020/06/16 19:52 | Comments(0) | 学校変革

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