公立学校の真実
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現在、小学4年から中学3年までの114人が通う。一人一人の歩みに合わせて教員らが寄り添いながら、出席率を向上させ、進学への意欲も引き出している。
「何回も壊れ、作るのに苦労したんですよ」。校舎1階の陶芸教室で、銀の粉が混ざった粘土をこね、クモや指輪を形作る児童たちの表情は、真剣そのものだ。校庭を見渡せば、教員と楽しく野球をする姿も。
子どもたちが取り組んでいるのは、毎週火曜と木曜の「講座学習」。料理や手芸、バドミントン、バスケットボールなど文化系から体育系まで、年間で約20の講座から選択して受講できる。黒沢正明校長は、「学校に行くのは楽しいことなんだ、と感じてもらえるようにしている」と話す。
同校は2004年、国の構造改革特区を活用し、誕生した。「自分を伸ばせる人になろう」「自信をもてる人になろう」といった目標を掲げ、年4回、転入生を受け入れている。
子どもに無理強いはしない。授業中、集中力が続かなかったり、体調不良を感じたりした場合は、読書やボードゲームができるプレイルームや保健室などで過ごす。
スクールカウンセラーも毎日、市や都から訪れ、子どもたちは日々の出来事や悩み、不安に感じることをこまめに話す。コミュニケーション力を養い、友人が出来るよう、ハロウィーンパーティーや餅つきなどの年中行事も多い。こうした指導の結果、開校時は5割前後だった出席率は、昨年度、目標の7割を超え、現在も維持している。
「学校に通える」と自信を付けた生徒が、次に目を向けるのは進学だ。中学2、3年は少人数指導を徹底し、学習到達度に応じてコース分け。1コース約15人の生徒に教員らが3~4人付き、補習の時間もある。生徒の9割以上が、全日制や定時制などの高校や専門学校へ進学。大学や大学院に進学する卒業生もいる。
民間出身で昨春、就任した黒沢校長は、「今後も、コミュニケーションの場を多く設け、社会性を培うような環境を提供したい。本校での時間を自信に変え、一つ一つハードルを越えて社会に羽ばたいてほしい」と話している。