公立学校の真実
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文部科学省は、公立学校で土曜日も授業を行う「学校週6日制」導入の検討を始めた。
ゆとり教育の見直しで授業時間数を増やした新学習指導要領が小中学校で実施されているが、さらに土曜日も使って授業時間を確保し、学力向上をめざす考えだ。
下村博文文科相は「世論の理解はある」として省内で課題を整理し、スケジュールを詰めるという。
導入は既定路線と言いたいのだろうが、現行の週5日制は企業などの週休2日制とも連動して社会に定着している。説明もなく、官僚だけで事を進めるのはあまりに乱暴すぎないか。
週5日制は1980年代後半のゆとり教育の考え方を背景に2002年4月に完全実施された。詰め込み教育への反省もあったはずなのに、次第に学力低下との関係が指摘されるようになる。
象徴的なのは経済協力開発機構(OECD)のテスト結果で、06年に読解力、数学、理科の3科目とも国別の順位を下げると、「ゆとり教育の弊害の現れ」と騒がれたのは記憶に新しい。
安倍晋三首相が週6日制にこだわるのは、前回の安倍内閣時に設置した「教育再生会議」が週5日制の見直しを提言したからか。
提言は退陣後に新学習指導要領に反映されたが、「道半ば」と考えたとしても不思議ではない。
だが、下村文科相が言うように世論の理解はあるのか。
週5日制には土曜に授業ができる例外規定がある。昨年度から指定校を設け、月1回から学期に1回の頻度で土曜授業を導入している京都府教委の調査では、小中学の7割を超える保護者が実施に肯定的だった。だが、実施回数が限られた土曜授業についての話だ。
児童・生徒は、6割超が「疲れる」などを理由に否定的だった。これでは、もう一つの狙いでもある平日の授業時間数の増加による負担を軽減することにならない。
何より、授業時間数を増やしても学力がアップする保証はどこにもない。学習意欲の低下こそ深刻な問題との指摘もある。
きちんとした検証や総括もないまま路線を転じる「猫の目の教育行政」を繰り返すつもりなのか。
導入から10年を超え、週5日制が子どもたちにも地域にも定着するなか、なぜ週6日制に戻さなくてはならないのか、必然性に疑問符をつけざるを得ない。
安倍内閣は学制改革など大上段の制度改革を掲げるが、子どもたちの学習意欲をどう高め、固定化が進む教育格差にどう対処するのか。足元の課題を見つめることから始めてもらいたい。
[京都新聞 2013年01月17日掲載]
この社説は気に入った。子供たちの学習意欲減退が最大の課題だ。実態を知ってほしい。教員は解決策のない日々の中で疲れている。1日1日をなんとか過ごすのに精一杯だ。
今日、授業をしながらノートをとらない生徒が何人いるか調べていた。誤解のないようにしたいのだが、指導している。しかし、ノートをとらないまたはとれない生徒だ。6人はいる。多いときで10人だ。ずーっとノートをとらずに座っている。