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   学生のまち、京都。これは単にイメージだけの話ではなく、数字の上からも実証されている。

 京都の大学や京都市などでつくる公益財団法人「大学コンソーシアム京都」などによると、京都市内には37の大学・短大があり、市人口約146万人のうち1割の約14万人が学生だ。同法人副事務局長の重田裕之(47)によると「もろもろ合わせた経済効果は5千億円規模」といい、平成21年の1年間に市内を訪れた観光客全体の消費総額(約6千億円)に迫るほど絶大だ。

 ただ、そんな京都でも安穏としていられる時代ではなくなっている。理由は少子化による学生の減少だ。

 全国の18歳人口は、4年度の約205万人をピークに減り始め、21年10月時点では約120万人に落ち込んだ。同法人によると、京都の学生数は横ばいで踏みとどまっているものの、関係者の危機感は強い。

 「学生が減ると、当然受験料や授業料といった大学側の収入も減る。ならば、大学は学生集めのため、どこかで何かをアピールしないといけない」

 コンソーシアムはもともと大学間連携に重きを置く組織だが、同法人は21年、新たな活動方針として「新しい地域連携モデルを活(い)かした高等教育の質の向上」を設定。地域連携重視の方向性を打ち出した。
内閣官房都市再生本部が17年に実施したアンケートによると、大学と市区町村の協定締結は、13年の9件以降、14年は16件▽15年は42件▽16年は72件-と急激に増加している。

 社会がグローバル化する中で「知の拠点」として大学に大きな期待が寄せられていることなどが理由に挙げられるが、18歳人口の減少も無関係ではない。

 中央教育審議会は17年、「我が国の高等教育の将来像」とする答申で、今後の高等教育機関について「少子化の影響などで、経営が困難になる機関が生じることが予想される」と指摘。各大学に経営努力を求め、大学の機能の一つとして社会貢献機能(地域貢献、産学官連携、国際交流など)を提示した。

 こうした流れに沿い、教育基本法改正(18年12月)と学校教育法改正(19年6月)では、ともに大学の役割として、新たに「教育研究の成果を広く社会に提供し、社会に発展に寄与する」ことが明記された。大学と地域が連携する流れは、関係法レベルでも固まっていった。

「京都の大学はつぶさない」。大学コンソーシアム京都の前身である「京都・大学センター」が発足した6年当時、こんなスローガンがあったという。「オール京都」で熾烈(しれつ)な競争に打ち勝つ決意を語ったとみえるが、重田は否定する。

 「組織の精神は、全体としてレベルアップを図り、発展することにある。その意味で、京都の大学だけが良ければいいとは思っていない。全国の大学の発展のため、将来的には全国に48あるコンソーシアム組織を、京都を中心に連携させることも思い描いている」

 地域との連携は、大学の生き残りや、知的資源の提供を求める地元の期待、国家政策など、さまざまな方面からの要請が背景にある。だが、より重視されるべきは、学習のフィールドや分野が大幅に拡大し、その中で学生らが「現場」を体感するという点だろう。

 地域連携の実情に詳しい重田や和歌山大学教授の足立基浩(42)、同志社大教授で企画部長の片山傳生(つたお)(61)は、いずれも「現場」で学ぶ学生に同じ印象を抱いている。

 「(地域連携に携わった学生は)責任感を持ってやり遂げたという顔つきに変わる。自分に自信が持てるようになり、もちろん、実力も付いてきている」(産経)
               

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